生理による痛みや不快感の種類や程度は個人差があり、多岐にわたります。気持ちも身体もデリケートになりがちなこの時期は、ナプキンなど摩擦や蒸れによるデリケートゾーンの「かゆみ」や「かぶれ」を経験した方も少なくないのではないでしょうか。
そんな生理時期を少しでも心地よく過ごせるよう、デリケートゾーンを守るためのヒントをご紹介いたします。
今回は、オーガニックコットンを使った生理用ナプキン「sisi FILLE(シシフィーユ)」を販売しているパノコトレーディングさんから道端真美さんと、贅沢な植物成分で作られたデリケートゾーンケアアイテム「INTIME ORGANIQUE(アンティーム オーガニック)」などを販売しているサンルイ・インターナッショナルで営業を務める冨田キシコさんへ、それぞれの視点から見たデリケートゾーンのかゆみやかぶれについて、さらにナプキンやデリケートゾーンに関するお話を伺いました。
生理中のかゆみやかぶれ、まずは原因から探ろう!
原因1:一番の原因は「蒸れ」
生理中はもちろん、そうではない時でもデリケートゾーンにかゆみやかぶれを感じる一番の原因は「蒸れ」。常に下着や衣服に覆われている部分なので、生理中でなくとも蒸れやすい場所なのですが、生理中は、ナプキンやサニタリーショーツなどでさらに「蒸れ」やすい環境に。
まずはデリケートゾーンの蒸れそのものについて、冨田さんにお話を伺いました。
――本日はよろしくお願いいたします。さっそくですが、まずはデリケートゾーンの「蒸れ」の原因について教えてください。
冨田さん(以下、敬称省略):
生理中は、ナプキンはもちろん、さらにナイロン素材などの化学繊維を使用したサニタリーショーツを使うことで、デリケートゾーンが蒸れ、かぶれてしまう方が多いです。しかも、日本は湿度が高く、蒸れやすい気候にあるのも影響していますね。
道端さん(以下、敬称省略):
生理用ナプキンに加え、サニタリーショーツの防水布が原因となる場合もあります。
生理中のデリケートゾーンは、経血で湿度が高く蒸れている状態にあります。それに加えて、サニタリーショーツのクロッチ(股)部分に使われている防水布がありますよね。
あれは経血が衣服に漏れないよう、防水のため化学繊維で作られているのですが、そういったショーツを使うことでただでさえ水分が溜まっている場所の通気性がさらに悪くなってしまいます。
また、デリケートゾーンのかゆみに加え、お尻のかゆみに困っていらっしゃる方も多いようです。これは、サニタリーショーツの防水布がお尻まで取り付けられていることで起きる場合があります。
生理中に眠っていると、経血がお尻の割れ目をつたって背中の方まで広がってしまい、そこから漏れてしまうことがありますよね。それを防ぐため、防水の布が腰辺りまで取り付けられているサニタリーショーツもあり、それによって蒸れる範囲がデリケートゾーンからお尻までの広範囲におよび、そこがかぶれてしまう方もいらっしゃるんです。
お二人の話によるとナプキン、経血、サニタリーショーツの防水布が主な蒸れの原因とのこと。さらに、多湿な日本の気候がプラスされ、やはり蒸れを解消するのはさまざまなケアが必須なようです。
原因2:デリケートゾーン特有の「汗」
デリケートゾーンのかゆみやかぶれと、不快感のある匂いの原因は汗にもあるとのこと。人間は起きてる間はもちろんの、寝ている間も汗をかいてしまうものですが、汗によるかゆみやかぶれ、不快感のある匂いはどうすればよいのか。デリケートゾーンの仕組みをもとに冨田さんにお答えいただきました。
冨田:
デリケートゾーンには、V・I・Oという部位の名称がありまして、ビキニラインとなるVゾーンには、バルトリン腺という汗腺があります。
そこから出る汗は、普通の肌の毛穴から出る汗とは違うため、雑菌が発生し炎症を起こしてかゆみにつながったり、さらにナプキンで擦れてかぶれてしまう原因に。さらに、デリケートゾーンに不快感のある匂いも生じます。
――「バルトリン線」、正直初めて耳にしました。デリケートゾーンのかゆみだけでなく匂いも、ケアの見直しの必要性がありそうです。
原因3:ナプキンの素材や、漂白剤の影響
デリケートゾーンのかゆみやかぶれの原因について、さらにもう一歩踏み込んで意識するべきポイントについてお二人に伺いました。
冨田:
最近、経皮吸収という言葉が使われることが増えたかと思います。二の腕の内側を吸収率を1倍としたとき、デリケートゾーンの吸収率は42倍になります。デリケートゾーンはそのくらい敏感で繊細な場所であるということがわかりますね。
だからこそ、直接触れる下着やナプキンが作られている工程、使われている漂白剤などについても意識する必要がありますよね。気付いていないだけで、ナプキンに使われている薬剤やコットンに反応してかぶれているという人もいるんですよ。
もちろん経皮吸収だけで、デリケートゾーンがかぶれたりするわけではなく、肌の調子は食べ物や日頃の生活でも変化します。ただ、私自身はオーガニックコットンで作られているナプキンを使うようになって、かぶれなくなった経験があります。
――ちょっと気になるワードが出てきたのですが、ナプキンに、漂白剤が使われているということでしょうか?
道端:
生理用ナプキンは日本の法律上、「医薬部外品」に分類されます。法律で決められた基準をクリアしないと販売することができないのですが、その中で、「表面が白でなければいけない」と決められているんです。つまり、デリケートゾーンに直接触れる面は白でなくてはいけません。
ほとんどのナプキンは化学繊維を使っていますが、オーガニックコットンを使用したナプキンもあります。コットンは本来少し黄味がかったキナリ色をしているのですが、真っ白にするために必ず漂白しなければはいけません。
漂白にはさまざまな方法や薬品の種類がありますが、極力化学的処理をしないことでオーガニックコットンの柔らかな風合いを残そうと酸素系漂白を採用しているものもあります。酵素系漂白剤は最終的に酸素と水に分かれるもので、比較的人体に対する影響も穏やかと言われています。
――現在はさまざまなメーカーから、多種多様なナプキンやその他の生理用アイテムが出ていますが、何を選びどう使うかは私たち次第。だからこそどんな素材で、どう作られているかなど、しっかりと確認できるものを選びたいですね。
原因4:ショーツなどを洗う洗濯用洗剤にも注意を!
ショーツを洗う洗剤やショーツ生産過程で使われる柔軟剤にも、デリケートゾーンのかゆみやかぶれに原因は隠れていました。
冨田:
アレルギー反応などもありますが、衣服を洗う洗剤でデリケートゾーンがかぶれている場合もあるそうです。
道端:
一般的に使用されている柔軟剤は、風合いを出すために繊維をコーティングするものです。衣服の生産の過程で柔軟剤が使われていることがほとんどですので、気になる方や化学物質に敏感な方は洗ってからお使いいただき、普段のお洗濯でも柔軟剤は用いない方が良いかと思います。
――ありがとうございます。デリケートゾーンを清潔にしているのに、それでもかゆみやかぶれが残るという人は、そこに触れるものすべてを一度見つめ直してみるのがよさそうですね。
セルフケアで予防&対策!デリケートゾーンのかゆみやかぶれ
ここまで、生理時のデリケートゾーンのかゆみやかぶれの原因についてお伺いしてきましたが、次は対策と予防についてお伺いしていきます。
対策1:蒸れにくい生理用ナプキン選び
――まずは肌に一番触れることの多い、ナプキンの選び方について教えてください!
道端:
生理用ナプキンは、デリケートゾーンに直接触れるものなので、安心安全であることを重視しましょう。一般的なナプキンには、経血などの水分を吸収するための吸収材として高分子ポリマーが使われていますが、私たちが販売しているナプキンでは、肌に触れる面にオーガニックコットン100%の不織布を使うことはもちろん、化学的な処理は極力控え、水だけでシートを作っています。
まずは、肌の優しいナチュラルな素材を使いながらも通気性と吸湿性に満たすナプキンを選ぶことで、蒸れや擦れによるかゆみ、かぶれを軽減することからはじめましょう。
対策2:蒸れにくいサニタリーショーツを選ぶ
――続いて、サニタリーショーツの選び方について教えてください。
道端:
蒸れを軽減するために、気をつけたいのがまず通気性・吸湿性の高い素材のショーツを選ぶことですね。クロッチ(股)部分にも化学繊維ではなく、天然繊維が使われているものの方が吸湿性もよく蒸れを軽減できます。
あとは足口やウエストが締め付けすぎないこと。ここを締め付けすぎると窮屈さもでますし、空気の通り道がなくなってしまうので蒸れやすくなってしまいます。
――確かに足口をゴムで締め付けないだけでも、デリケートゾーン付近の蒸れは軽くなりそうですね。
対策3:こまめなナプキン交換とデリケートゾーン専用品の活用を!
ナプキン、サニタリーショーツとデリケートゾーンの外側のケアがわかったところで、最後はデリケートゾーンそのもののセルフケアのお話を冨田さんに伺いました。
冨田:
生理中はおりものの量も増え、デリケートゾーンがいつもより敏感になっているので、こまめにナプキンを変えるよう心がけましょう。
また、毎回ではなくてもハイジーンシートの使用もおすすめします。ハイジーンシートとは、デリケートゾーン専用のウェットシートです。携帯用に持ち運べるものがほとんどですし、使用後はそのままトイレに流せるものが多いですね。デリケートゾーンを清潔に保つことでかゆみや匂いを軽減することができます。
ーーさまざまなコスメ売り場などで「デリケートゾーンケア用品」が集められたコーナーを目にする機会も増えてますし、気になっている方も多いと思います。私もちょっと覗いてみたくなりました。
対策4:快適なデリケートゾーンの状態でかゆみ対策を
冨田:
皆さん、お顔って普段から化粧水を塗ったり美容液を塗ったり、一生懸命ケアされていると思うんですけど、率直に言うとデリケートゾーンも同じようにケアして欲しいです。きちんと清潔に保ちながら、しっかりと保湿して欲しい。そしてふっくらモチモチとした状態に保っておくことが理想的です。
お肌には乾燥が大敵ですが、デリケートゾーンも同様。だから専用のソープやデリケートゾーンにも使用可能な肌に負担がかかりにくいソープで洗って、ローションやクリーム、オイルで保湿する。お肌が乾燥するとバリア機能が低下します。その状態で蒸れや、ナプキンなどによる擦れによる刺激で炎症を起こしてかゆみやかぶれにも繋がってしまいます。
そのため、デリケートゾーンを健康に保つことができれば、いざ生理になったときでも不快感やかゆみ、かぶれは軽減できるかと思います。
――ふっくらモチモチとは、確かに顔のお肌にも求めるものですよね。そのくらい気をつけながら、健康な状態を保つべき場所である、と意識を変えていくことが大切ですね。
対策5:膣カンジダによるかゆみやおりものは即病院へ
デリケートゾーンのかゆみの原因には病気が原因となっている可能性も。
冨田:
カンジダとは、寝不足などで免疫力が低下して、カンジダ菌を自分でやっつけられなくなって発症するものなのですが、もうこればかりはすぐに病院へ行っていただくのが一番です。膣錠などがあるのですが、もう薬できちんと治すしかありません。
カンジダになっても、専用のソープなどで使えば治るというものではありませんので。ちゃんと完治させてから、デリケートゾーン用のアイテムでケアして、予防するようにしましょう。
――ふっくらモチモチとは、確かに顔のお肌にも求めるものですよね。そのくらい気をつけながら、健康な状態を保つべき場所である、と意識を変えていくことが大切ですね。
おわりに
毎回のことだから、どうせ捨ててしまうものだからと、デリケートゾーンケアやナプキン選びを後回しにしてしまいがちですが、定期的に訪れる期間だからこそ、特別なケアや特別な用品を選ぶことが普通でありとても大切なこと。
冨田さん曰く、「多くの日本人女性が自分のデリケートゾーンや膣の状態を知らなさすぎる」とのこと。デリケートゾーンのケアアイテムを見かけることが増えつつも、普段隠れているところだから…とスルーするのではなく、これを機にちゃんと向き合うきっかけにしてみてはいかがでしょうか?
冨田キシコ
株式会社サンルイ・インターナッショナル
営業本部シニアマネージャー
自身の美容の経験を生かして「女性を美しく、笑顔で元気になるために」できる範囲での介護活動支援、盲導犬の支援など今自分でできることを行っている。まずは自分が元気でいるために自身の体と心のケアを欠かさないように、入浴の時間でのリセットを意識しておこなっている。
道端真美
株式会社パノコトレーディング
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美術大学を卒業後、設計会社に勤務。退職して世界26カ国を放浪し、その後単身カナダへ。帰国後、オーガニックコットンを通した嘘のないものづくりに感銘を受け、2018年株式会社パノコトレーディングに入社。産地から直輸入したオーガニックコットンを使ったプロダクトブランド「sisiFILLE(シシフィーユ)」のPRや商品開発、EC運営に携わる。