春に向けて、自宅でハーブ栽培を楽しんでみませんか?
ハーブは、広い庭がなくても鉢植えやプランターで育てることができます。また、おうちで育てたハーブには、フレッシュハーブだけが持つ瑞々しい香りと味を楽しむことができます。ドライハーブとはまた違う、植物としてハーブが本来持っている魅力を、ハーブ栽培を通して体験してみませんか?
今回は、初めてハーブ栽培をする方におすすめのハーブの品種と、おうちハーブを使った「ラベンダーミルクティーの淹れ方」や「自家製ハーブソルトの作り方」をご紹介します。
春に植えるおすすめハーブ
まずは、春植えにおすすめしたいハーブをご紹介します。
■ローマンカモミール
学名:Chamaemelum nobile 科名:キク科 利用部位:花部
ローマンカモミールは、リンゴのような香りのする多年草のハーブです。アロマテラピーでリラックスや安眠のために使われるカモミール精油は、ローマンカモミールから採られます。
可愛らしい白い花が咲き、踏まれても枯れない強さを持つことから、初心者でも育てやすいハーブとして人気です。心地よい優しい香りは、花だけでなく葉や茎からも香るため、芝生のように地植えすると、歩くたびにカモミールの香りを感じることができます。
■ジャーマンカモミール
学名:Matricaria chamomilla 科名:キク科 利用部位:花部
ジャーマンカモミールは、ハーブティーとしてよく利用されます。一般的に「カモミールティー」として飲まれているのはジャーマンカモミールです。
アロマテラピーで乾燥肌や敏感肌のケアに使われるカモミール精油は、ジャーマンカモミールから採られます。ローマン種とジャーマン種の違いの見分け方は、白い花の真ん中にある黄色い花芯を見ます。花芯がぷっくりしているのがジャーマン種と見分けられます
■ラベンダー(アングスティフォリア系)
学名:Lavandula angustifolia、Lavandula officinalisなど 科名:シソ科 利用部位:花部、葉部
ラベンダーには多くの種類があり、一般的にアロマテラピーで使われるラベンダーとして知られている品種は、アングスティフォリア系を指します。花穂はやや小さめですが、ラベンダー特有の美しく力強い香りを秘めています。アングスティフォリア系は、寒さに強く、高温多湿に弱いため、北海道のラベンダー畑で広く栽培されている品種です。
■ラベンダー(ラバンディン系)
学名:Lavandula x intermedia、Lavandula latifoliaなど 科名:シソ科 利用部位:花部、葉部
ラバンディン系は、花穂が大きめで、一般的にラベンダーとしてよくイメージされる姿形の花が咲きます。アングスティフォリア系の香りに、爽やかさを加えたような香りが特徴です。
ラバンディン系は、寒さにやや強く、高温多湿でも育ちやすいため、比較的多くの地域で育てやすいラベンダーの品種です。花穂や茎に長さがあるため、ラベンダーをカゴのように編み込んで作る「ラベンダーバンドルズ」にも向いています。
■ラベンダー(ストエカス系)
学名:Lavandula stoechas 科名:シソ科 利用部位:花部、葉部
ストエカス系は、ウサギの耳のような花穂を持つラベンダーです。フレンチラベンダーとも呼ばれます。可愛らしいリボンのようにも見える部分は、紫だけでなく、ピンク、白、黄色などがあります。
他の品種と比べると香りは弱いものの、ラベンダーの香りをきちんと放ちます。ストエカス系は、寒さには弱く、暑さには強いため、関東付近や、関東以南でラベンダーを育てたい場合に向いています。
■セイヨウノコギリソウ
学名:Achillea millefolium 科名:キク科 利用部位:花部、葉部
セイヨウノコギリソウは、レースリボンのような葉を持つハーブです。白や紫の小さな花を咲かせます。アロマテラピーでもセイヨウノコギリソウ(別名:ヤロウ)は、青い色をした精油として、スキンケアなどに用いられています。
セイヨウノコギリソウはネイチャーズウェイの自社農場でも栽培していて、チャントアチャーム製品にも使用されています。私たちにとって大切なハーブのひとつです。
メディカルハーブとしての歴史は古く、ティーは解熱や鎮痛効果があるとして飲まれてきました。学名のアキレアは、ギリシャの英雄アキレスに由来しているそうです。戦場で肌荒れや傷の回復を促すハーブとして利用されてきた歴史にも納得できます。少し苦味のある若葉をサラダにしたり、花をエディブルフラワーにして食べることも可能です。
■ローズマリー
学名:Salvia Rosmarinus(旧学名:Rosmarinus officinalis)科名:シソ科 利用部位:葉部
ローズマリーは、優れた抗酸化力を持つことで、香りや成分が注目されているハーブです。記憶力や脳機能を高めるとして、近年多くの研究が進められています。ローズマリーには、特有のシャープな香りがあり、肉・魚料理を作る時に使うと、美味しくグリルやスチームができる点も魅力的です。
葉に触れるだけで、心がシャキッとするような香りがするので、小さめの鉢に植えるだけでも、手軽にアロマテラピーが楽しめます。
ローズマリーは生命力が強いため、どんな土地でも育てやすいハーブです。まっすぐ上に伸びる立性タイプと、地に這うように伸びる這性タイプは、お住まいの環境に合わせて選ぶと良いでしょう。
ハーブの育て方のポイント
1.栽培は陽の当たる風通しのよい場所を選ぶ
ハーブを育てる場所は、日当たりが良く風通しの良いところを選びましょう。ハーブに限らず、植物は光合成をして成長するため、基本的に日当たりの良い場所を好みます。
また、風通しの良い場所で育てることは、ハーブに湿気や熱気が籠ることを防ぎます。風通しを良くし、きちんと空気が流動する場所で育てることで、ハーブに病気や虫が発生するリスクを減らすことができます。
ハーブを鉢やプランターに植えつけた後は、2~3日ほど半日陰に置きましょう。ハーブの根と土が馴染んでから日が当たる場所に移動させると、ハーブの成長が促されます。
2.水の与えすぎに注意する
多くの場合、ハーブは水やりを控えめにして育てます。品種にもよりますが、ラベンダーやカモミールなど、一般的なハーブのほとんどが湿度の少ないヨーロッパで自生や栽培されてきた植物です。日本のような高温多湿になりがちな土地では、水の与え過ぎに注意して「やや乾燥気味に」育てる必要があります。
【ハーブの水やりのポイント】
・水は2〜3日に1回、午前中に与えるようにしましょう。
・一回に与える水の量は、「鉢の下から水が流れ出るくらいたっぷり」が目安です。
・水を与え過ぎると根腐れしてしまうため、土が乾いたら水を与えるようにします。
・夏場は、毎日水やりをしても構いません。土の乾きをよく観察して、水やりしましょう。
3.育てる環境に応じてハーブを選ぶ
日本の中でも、北海道と沖縄では平均気温や気候が大きく異なります。ハーブには、それぞれ好む育成環境があるため、住んでいる地域の気温や気候に合わせて、育てやすいハーブの品種を選ぶと良いでしょう。
例えば、ローズマリーは暑さにも寒さにも強いため、日本のどこでも育てやすいハーブですが、その中でも特に「耐寒性」を持つ品種があります。
ラベンダーにも多くの品種があり、寒さに強いアングスティフォリア系や、暑さに強いストエカス系など、選択肢があります。住んでいる地域が寒い場合は「耐寒性」のあるハーブを選び、暑い地域ならば「耐暑性」のあるハーブを選ぶようにしましょう。
「育てる環境と、育てたいハーブの相性が合っているかどうか?」を確認することで、ハーブ栽培の成功率がぐんと上がります。
4.ハーブ初心者は単独栽培がおすすめ
初めてハーブ栽培をする時は、ひとつの鉢にひとつのハーブを植えて育てる「単独栽培」がおすすめです。単独栽培は、ハーブの種類によって生まれる「水やり頻度の差」などを気にせず、鉢ごとに水の量を調整できるので便利です。
単独栽培の場合、ハーブごとに鉢のデザインを選ぶ楽しみもあります。ハーブ栽培に慣れてきたら、ぜひ植え替えにも挑戦して、ハーブを大きく育てていってください。
収穫したハーブを楽しむ
■フレッシュハーブティーを楽しむ
ハーブ栽培をはじめたら、自分で育てたハーブで淹れた、フレッシュハーブティーを飲んでみましょう。ハーブの種類によりますが、フレッシュハーブは片手ひと握り程度あれば、一人前のハーブティーを淹れることができます。
自家製カモミールティーを楽しみたい場合は、ジャーマンカモミールを育ててみましょう。市販のカモミールティーはジャーマンカモミールで作られています。
ローマンカモミールもハーブティーとして楽しむことができますが、少し苦味があるためお好みでミルクやハチミツを加えて飲むと良いでしょう。セイヨウノコギリソウやローズマリーは、食べ過ぎた後に飲みたいハーブティーです。
ラベンダーティーは、シングルハーブティー(一種類のハーブだけでティーを淹れる方法)では苦みがあるので、他のハーブや紅茶と合わせるのがおすすめです。ラベンダーミルクティーにしたり、はちみつを加えてラベンダーハニーティーにしたりすると、まろやかさやコクが加わり美味しさが増します。
【ラベンダーミルクティーの作り方】
材料の目安(1杯分):
ラベンダー(ティースプーン1杯)、紅茶の茶葉6g、熱湯300ml、牛乳60ml
1. 温めたティーポットにラベンダーと紅茶の茶葉を入れる。
2. 汲みたての水を沸騰させて「1」に注ぎ、3分ほど待つ。
3. 温めたカップにティーを注ぎ、牛乳を加える。
4. お好みでハチミツを加えても美味しくなります。
■自家製ハーブソルトを料理に使う
おうちで育てたフレッシュハーブを塩と合わせて、手作りハーブソルトを作ってみましょう。ローズマリーのハーブソルトは、肉料理や魚料理に使うと、レストランメニューのようなワンランク上の美味しさになります。
カモミールやラベンダーと、ローズマリーやセイヨウノコギリソウのハーブソルトは、料理用には向きませんが、バスソルトとして使うことができます。
【フレッシュハーブソルトの作り方】
材料:ハーブと粗塩(ハーブと塩は、同じくらいの量を使う)
1.粗塩は乾煎りするなどして、水分を飛ばす。
2.フレッシュハーブは水洗いした後、ペーパーで水分をしっかり取る。
3.ハーブを2~3ミリ程度にカットし、粗塩と混ぜる。
4.蓋ができる容器に入れて保存する。
*バジルやタイムでも、上記の作り方でハーブソルトを作ることができます。
春はハーブ栽培におすすめの季節
これから春が深まる今の時期は、ハーブを育てるのに適した季節です。春植えのハーブは、ぐんぐん育つので、ぜひ自宅でハーブを育ててその成長を楽しんでみてください。
自分で育てたハーブは、料理やハーブティー、バスタイムにも活躍します。まずは、気になるハーブを一つ選んで育ててみましょう。今まで知らなかったフレッシュハーブの香りや味、植物としての魅力が見つかるはずです。
ネイチャーズウェイ
EC担当 いわさき
キッチン用品やオーガニック化粧品のEC販売経験を経て、自分が良いと思ったものをもっと多くの人に手に取ってもらいたい!という思いからネイチャーズウェイに入社。コスメも趣味も、ひとつのものを偏愛しがち。