ただでさえ憂鬱な生理の時期。特に生理痛に苦しめられている方は、「何もできない」、「何もしたくない」…という状態になってしまう方も多いのではないでしょうか。
その生理痛緩和が期待できるセルフケアのひとつが「ヨガ」。体を動かすことで血流がよくなり、収縮してしまっているお腹周りの筋肉を緩めてくれます。
また、ヨガにとって重要な呼吸も生理痛を和らげるひとつの要素。深い呼吸は体と心のリラックス効果が促進し、痛みが緩和しやすくなると言われています。(セロトニンの分泌が促され、自律神経が整うことで心と体のバランスがとりやすくなります)
今回は生理痛緩和に効果的と言われる、4つのヨガのポーズをご紹介いたします。
※生理中にヨガを行う場合は、逆転のポーズ(肩立ちのポーズや逆立ち)や強いねじりのポーズなど、お腹を締め付けるポーズは避けた方がいいと言われています。本記事内では紹介しておりませんが、ヨガを行う際にはご注意ください。
ブジャンガアーサナ / コブラのポーズ
腹部を伸ばし、調子を整えるので、生理痛を和らげる効果があります。また、疲労やストレスを軽減する効果もあります。
- 1.うつ伏せになり、脚を腰幅くらいに開き、両足の甲を床につけておきます。
- 2.手の指を広げ、手のひらを肩の横につきます。
- 3.肘が開かないように脇をしめます。
- 4.足の甲と腿を床につけて恥骨で床を押すようにします。
- 5.息を吸いながら、手で床を押し上半身を持ち上げ、胸を開きながら背骨をそらしていきます。お尻は固くしないように。
- 6.楽な呼吸で15〜30秒ほどキープします。
- 7.息を吐きながら上半身を下していき、体勢を楽にします。
【ポイント】
・腕の力だけで体を起こしたり支えたりするのではなく、腹筋と背筋を意識して持ち上げていくようにします。
・上半身を反らせるときに、肩に力が入ってしまわないように、肩を耳から遠ざけるようなイメージし、胸を開きます。
・肘が外に開いてしまわないように脇を締め、肩甲骨を寄せるようにします。
・顎を引いて首の後ろを長く保ちます。
・肘は伸ばせるところまでで大丈夫。腰に負担がかからないところでキープしてください。
・肘は曲がっていても大丈夫。肩をすくませないようにだけ注意してください。
ジャンヌシルシアーサナ / 頭を膝につけるポーズ
腹部の臓器をマッサージし、生理痛を和らげます。骨盤の調整や股関節周辺を柔軟にする効果があります。
ノーマルバージョン
- 1.背筋をまっすぐにして、脚を前にまっすぐ伸ばして座ります。
- 2.右膝を曲げ、右足を左の腿の内側に当て右膝を開きます。
- 3.手のひらもしくは指先お尻の横に置き、息を吸いながら床を押し、背筋を伸ばします。
- 4.特に背骨の下の方を意識的に伸ばします。
- 5.息を吐きながら背筋を伸ばし、お腹を腿に近づけていくように鼠蹊部(脚の付け根)から前屈していきます。この時、骨盤が横に開いてしまわないように、しっかり正面に向けます。
- 6.手を床に置いておくか、持てるようだったら足首やつま先、かかとを掴みます。
- 7.痛気持ちいいと感じるところで止め、呼吸に意識を向け、1~3分ほどキープします。
- 8.吸いながらゆっくり起き上がり反対も行います。
【ポイント】
・息を吸う時は斜め上に伸び上っていくように、背筋(特に下の方)を伸ばします。
・もしも呼吸が浅かったり、呼吸をしにくいと感じたら、「無理をしている」という体からのサインです。少し上体を起こしてあげましょう。
・力ではなく、呼吸と重力で前屈を深めていきます。
※腰痛の原因となるので、背中を丸めたり、体の前面(お腹)を縮めたり、力づくで前屈しないように注意します。
リストラティブバージョン
もっとリラックスしたい、体を休めたいときにはこちらがおすすめです。
- 1.伸ばしている脚の上にクッション(枕でもOK)をのせます。(1~2個)
- 2.クッションをお腹の方に近づけます。
- 3.お腹をサポートするように前屈し、上体をクッションにゆだねていきます。顔は左右どちらに向けても構いません。
- 4.1~3分ほどキープします。
- 5.吸いながらゆっくり起き上がり、反対も行います。の時、首は前回と反対の方に向けます。
クッションを「第三の目(眉間の少し上)」にあてても◎。この第三の目はリラックスポイントなので、圧を加えると効果的です。
チャイルドポーズ
こちらのポーズは生理痛だけではなく、腰痛緩和にも効果的です。腰の筋肉を優しく伸ばすので、背中や腰に痛みのあるタイプの生理痛に特に効果があると言われています。リラックス効果やストレス解消も期待できますよ。
ノーマルバージョン
- 1.四つんばいになり、両足の親指を付け、両膝を開き、足の上に腰を下ろします。
- 2.息を吐き、背筋を伸ばしながら、手を前に歩かせ前屈します。
- 3.手で床を押し、体を少し後ろに押し戻すようにし、お尻をかかとの方にしっかりと落ち着かせていきます。
- 4.おでこを床につけ、首の後ろを長く保ちます。 ※クッションや枕を「第三の目(眉間の少し上)」に当てても効果的です。
- 5.息を吸いながら手で床を押し、ゆっくりと背を丸めながら起き上がります。
リストラティブバージョン
もっとリラックスしたい、体を休めたいときにはこちらがおすすめです。
- 1.クッションを1~2個(枕でもOK)脚の間に置き、お腹の方に近づけます。
- 2.お腹をサポートするように前屈し、上体を枕にゆだねていきます。顔はどちらかに向けます。
- 3.1~3分ほどキープします。
- 4.その後、顔を反対に向け、さらに1~3分ほどキープします。
- 5.息を吸いながら手で床を押し、ゆっくりと背を丸めながら起き上がります。
【ポイント】
・もう少し高さがほしい場合さらにクッションや枕を置いてもOK。
・背中やお腹に意識を向け、呼吸に身をゆだねましょう。
バダコアーサナー / 合せきのポーズ
股関節周りを広げ、骨盤内の血流を促し生理中の不快感を和らげてくれます。ひどい生理痛や生理不順にも効果があります。
ノーマルバージョン
- 1.両足裏を合わせて座り、体にかかとを引き寄せます。
- 2.背後の床に指をつき坐骨で床を押しつけながら、背骨を上に伸ばします。
- 3.両膝を遠ざけるようにイメージしながら、膝の内側を外へと伸ばします。
- 4.両手で足を掴み、息を吸いながら両サイドのウエストを伸ばし、上体を前に引き上げます。
- 5.息を吐きながら上体を前に倒します。背筋を伸ばした状態をキープしながら、倒せるところまで倒します。
【ポイント】
・無理がないようであれば、おでこを床につけてもOK。
・股関節や腿の内側が強い痛みがある場合は、脚の下にクッションを入れてみてください。
バタフライバージョン
- 1.両足裏を合わせて座り、かかとを体から少し遠くにおきます。
- 2.ノーマルバージョンと同じように、息を吐きながら上体を倒せるところまで前に倒します。
- 3.足の上にクッションを置き、「第三の目」をあて、呼吸に意識を向けながら1~3分ほどキープします。
- 4.息を吸いながらゆっくり起き上がります。
リストラティブバージョン
最後に、リストラティブバージョンとして、スプタバダコアーサナ(背をもたせる合せきのポーズ)をご紹介いたします。
- 1.2枚のブランケットを用意し、それぞれ写真のように細長く畳みます。
- 2.背もたれになるよう、背中側に縦の状態で設置します。
- 3.ブランケットの縁の部分に尾骨を当て、両足裏を合わせて座り、かかとを心地の良い位置に調整します。
- 4.ゆっくり仰向けになります。頭の下にクッションを入れ、顎が上がりすぎたり顎を引きすぎたりしないようないように保ちます。腕はリラックスできるポジションで。
- 5.5分~15分ほどこの状態でキープします。体の力を抜き、自分の呼吸、お腹や胸の動きに意識を向けてリラックスします。
- 6.膝をゆっくり閉じ、右側にゴロンと横になります。
- 7.左手で床を押し、ゆっくり上体を起こします。この時、頭が一番最後になるよう起き上がります。
腿の内側に負担がかかる場合は、脚の下にクッションなどを入れて調整してください。
【ポイント】
・その日の気分や体調によってバージョンを選んでください。
・ノーマル&バタフライバージョンは前屈することで腹部へのマッサージ効果があります。
・リストラティブバージョン(スプタバダコアーサナ)はブランケットで体の下に高さをつくることによって、胸やお腹など体の前面を開く効果があります。
定期的にやってくる痛みには、どうしても気分が落ち込みがちになってしまうもの。そんな時こそ心を落ち着けて自分の体とじっくり向き合う時間を作ることで、ポジティブに付き合っていきたいですね。
もちろんセルフケアで乗り切ることも大切ですが、通常よりもひどい痛みやいつもと違うサインがあらわれた場合は早めに婦人科を受診しましょう。